【子供に付与される在留資格】
子どもに与えられる在留資格は、いろいろとあります。

日本国籍の取得(ビザ不要)

①出生時に日本国籍を取得
国籍法2条1号(出生による国籍の取得)によると、出生の時に父又は母が日本国民であるとき、子は日本国民となります。
ここでいう父または母というのは法律上のことをいいます。母親は分娩の事実をもって法律上の母となりますが、父親の場合は「結婚」または「認知」により、法律上の父となります。
・出生した日から14日以内に役所へ「出生届」を提出する必要があります。

(出生による国籍の取得)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

国籍法

②届出時に日本国籍を取得
日本人の男性が結婚する前に外国人の女性との間に子ができてしまった場合、又は子が18歳未満までに認知をし、国籍法3条に則って国籍取得届をすれば、その子は日本国籍を取得することができます(認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき場合に限る。)。

(認知された子の国籍の取得)
第三条 父又は母が認知した子で十八歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

国籍法

③国籍の留保をしなかった者の国籍の再取得
外国で生まれた子が、出生によって日本国籍と同時に外国の国籍も取得したときは、出生の日から3か月以内に、出生の届出とともに日本国籍を留保する意思表示(国籍留保の届出)をしなければ、その子は、出生の時にさかのぼって日本国籍を失うこととされています。しかし、日本国籍を留保しなかったことによって日本国籍を喪失した子は、次の要件を満たしている場合には、法務大臣に届け出ることによって、日本国籍を再取得することができます。
(1)18歳未満である。
(2)日本に住所を有する。
「日本に住所を有すること」とは、届出の時に、生活の本拠が日本にあることをいいます(観光、親族訪問等で一時的に日本に滞在している場合等には、日本に住所があるとは認められません。)。

(国籍の再取得)
第十七条 第十二条の規定により日本の国籍を失つた者で十八歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

国籍法

④帰化申請により日本国籍を取得

①、②以外は、日本国籍を取得するためには、帰化申請が必要です。

(帰化)
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

国籍法

【2】日本人の配偶者等ビザ

①日本人の実子(日本人の子として出生した者)
「日本人の子として出生した者」とは日本人の子とは異なります。外国人の出生後にその父母又はいずれかが日本国籍を取得しても、その者が「日本人の子として出生した者」とはなりません。逆に、その者の出生後に、日本国籍を有していた父母又は父若しくは母が日本国籍を失っても、その者は「日本人の子として出生した者」です。
・子供が生まれた時に、父または母が日本国籍を保有していた場合で、子供が「外国籍」を保有している場合、その子供の在留資格は「日本人の配偶者等」になります。
・出生場所は問われませんので、外国で子供を産んだ場合も対象です。
・出生した日から30日以内に出入国在留管理局へ「在留資格取得許可申請」を行う必要があります。(入管法22条の2)

②日本人の特別養子
日本人の特別養子となった者は、「日本人の配偶者等」の在留資格が与えられます。
特別養子とは、普通養子とは違い、成人に達した外国人とは特別養子縁組を結ぶことはできません。
特別養子とは、様々な事情で育てられない子どもが家庭で養育を受けられるようにすることを目的に設けられた制度です。
普通の養子縁組と違い、養子と実親らとの血縁関係は断たれます。
(1)外国人の子を特別養子とする場合
法の適用に関する通則法(以下「通則法」)31条1項に「養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による」と定められています。外国人の子を特別養子にするときは、養親となる者の本国の法律を適用します。日本人が養親となる場合は「民法817条の2~817条の9」を適用します。また、通則法31条1項には「外国人養子の本国法が、養子を保護するための規定※を定めているときは、その要件に従わなくてはならない」ことも定めています。
※養子本人の承諾、第三者の承諾、裁判所や公的機関の許可など 
(2)養親となる者の要件 
①配偶者のある者であり、夫婦ともに養親になる必要があります。
②25歳に達している者が養親になれます。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合でも、その者が20歳に達していれば、養親になることができます。
(3)養子となる者の要件
15歳未満。15歳〜17歳であっても以下条件を満たせば、特別養子となることができます。
・養子となるものの同意がある
・15歳未満の時から養父母となる人と一緒に暮らしている
・やむを得ない事情で15歳までに申し立てができなかった
(4)その他の要件
・実父母の同意が必要です。ただし、実父母が意思表示することができない場合、実父母による虐待や悪意の遺棄など養子になる子にとって好ましくない場合があるときは、実父母の同意は不要です。
・この特別養子縁組が、養子になる子にとって本当に必要であることが求められます。
・養親となる者が養子となる者を6ヵ月以上の期間監護した状況
以上の要件があるとき、養親となる者の請求により、家庭裁判所は特別養子縁組を成立させることができます。

【3】永住ビザ

永住者の子として日本国内で生まれ、出生後30日以内であれば、永住ビザの申請が可能です。

【4】永住者の配偶者等ビザ

永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者が対象となるビザです。「永住者等の子として出生した者」とは、その者の出生の時点においてその者の父母の少なくとも一方が永住者等であったことを意味します。永住者の子として日本国内で生まれ出生後30日を超えて在留資格取得許可の手続をしする場合、子の在留資格(ビザ)は「永住者の配偶者等」となります。

【5】定住者ビザ

「日本人の配偶者等」やそのほかの在留資格に当てはまる場合は、「定住者ビザ」の対象になりませんので、注意が必要です。

(1)定住者告示6号イ
・帰化により日本国籍を取得した者の帰化前の子
・永住者の子として海外で出生した子
以上の2つに当てはまる子の場合、次の条件を満たしていれば「定住者」の在留資格(ビザ)が許可されます。
①未成年で未婚の実子であること
②扶養を受けて生活すること
③扶養者の経済的な安定性
④入国後の扶養計画がしっかりとあること

(2)定住者告示6号ロ
・定住者の子 
定住者の在留資格(ビザ)をもつ外国人の子も「定住者」の在留資格が付与されます。

(3)定住者告示6号ハ
・定住者のうち、日系2世・3世及びその配偶者の子
扶養される子について素行善良要件が審査されます。

(4)定住者告示6号二
・日本人の配偶者の連れ子
・永住者の配偶者の連れ子
いわゆる「連れ子ビザ」と呼ばれる在留資格(ビザ)です。

(5)定住者告示7号
次のいずれかに該当する者の扶養を受けて、生活するこれらの者の6歳未満の養子(告示第1号から第4号まで、6号又は8号に該当する者を除く。)に係るもの
 日本人
 永住者の在留資格を持って在留する者
  1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格を持って在留する者
 特別永住者

定住者告示7号は、日本人、永住者もしくは特別永住者、又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の、被扶養者として生活する6歳未満の養子について、定住者として上陸を認めます。6歳未満の扶養を受けている者に限ったのは、単に日本に在留するためだけに養子となる場合等を排除する趣旨です。

【5】家族滞在ビザ

以上が「子供の在留資格」になります。