永住ビザの概要
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①永住ビザとは
日本での長期滞在を望む外国人にとって、日本での居住の安定と新たな可能性を広げることができるのが「永住ビザ」です。観光ビザ、学生ビザ、就労ビザ等とは異なり、一度取得すれば、無期限の居住権を得ることができます。また日本人と同様に就労制限がないこともメリットです。ただ申請要件のハードルは高いです。
②永住ビザのメリット
【在留期間の制限がなくなる】
永住権を取得するとビザ更新の必要がなくなります。それぞれのビザには在留期間があり、更新申請を行う必要があります。長期で日本に在留したい外国人にとって、更新手続きは時間と手間がかかり、更新不許可リスクも存在します。しかし、一度永住権を取得すれば、ビザ更新は不要となります(在留カードは7年おきに更新)。退去強制処分を受けなければ、ほぼ永久的に日本に在留することが可能です。
【在留活動の制限がなくなる】
永住権があれば、日本人と同様に職業を自由に選択することができます。そのため、単純労働、業界や職種を変更しての転職や会社経営ができるようになります。ちなみに技術・人文知識・国際業務ビザをお持ちの方からよくいただく声が、「転職したいけど、今のビザを変更せずにできる仕事が少ないので、転職ができない」、「日本での会社経営に興味があるけど、経営・管理ビザはハードルが高い」というものです。永住権を取得すれば就労制限が無くなり、自由に働くことが可能となります。また会社経営についても資本金や事務所の制限なく、ハードルが低くなります。
【家族の永住許可申請等が有利になる】
外国人一家の本体者が永住許可の要件を満たしていれば、その配偶者や子は、継続在留歴「10年以上」、就労資格若しくは居住資格「5年以上」を満たしていなくても、永住許可要件に該当します。「永住者の配偶者等」に与えられている特例基準である「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留」で永住許可の審査がなされます。(実子の場合は1年以上日本に継続して在留)
【家族の就労制限が緩和される】
就労ビザをお持ちの方が配偶者やお子様を日本に連れてくる場合は「家族滞在」の在留資格を取得する必要があります。「家族滞在」では、資格外活動の許可を受けた上で、週28時間以内の労働時間の制限があり、アルバイトしか行うことができせん。永住権を取得すれば、配偶者の方は「永住者の配偶者等」に在留資格を変更することで、就労制限が無くなりますので、日本で行う仕事の選択肢が大きく広がります。
【社会的な信用を得やすくなる】
世間から日本に永く生活できる基盤があると認められることから、商取引を含め社会的な信用を得やすくなります。特に、マイホーム購入の際の住宅ローンやビジネスをする際の融資について、有利になります。銀行側は在留期限が定められている外国人は、いつ母国へ帰国するかわからず、貸したお金を回収できないリスクがありますが、永住権を取得することで、日本人と同等の信用を確保することができます。
【離婚などによるビザ変更は不要】
日本人の配偶者と離婚、あるいは死別した際に、「日本人の配偶者等ビザ」をお持ちの場合は、6ヶ月以内に別のビザ(主に就労ビザや定住者ビザ)に変更するか、母国へ帰国しなければなりません。永住ビザは、ビザの変更手続きをせずとも、引き続き滞在可能です。
③永住ビザと帰化の違い
<手続きについて>
永住ビザの取得者は、外国人登録や再入国手続きを行う必要があります。帰化する場合は、日本国籍を取得することになるため、外国人関連の手続きは不要となります。
<参政権について>
永住ビザ取得者は外国籍のため、参政権は付与されません。帰化する場合は、日本人として参政権が付与されるため、選挙で投票することができます。
<母国への帰国について>
永住ビザの取得者は、母国の国籍は失っていないため、母国への帰国について特に問題はありません。また、日本へ再度入国するために、日本からの出国前に、みなし再入国手続き又は再入国手続きが必要です。
帰化の場合は、母国へ帰国する際、日本人として入国手続きが必要となります。日本へ再入国する際には、すでに日本人であるため、上記のみなし再入国手続きや再入国手続きは不要です。
<日本国内からの退去について>
永住ビザの取得者は、法律違反等により退去強制事由に該当すると、母国へ強制送還される場合があります。帰化する場合は、日本の法律に基づいて罰則が適用されます。
永住ビザ | 帰化 | |
国籍 | 現在の国籍のまま | 日本国籍 |
在留カード | 必要 | 不要 |
在留資格の更新 | 不要 | 不要 |
在留カードの更新 | 必要 | 不要 |
再入国手続き | 必要 | 不要 |
職業 | 制限なし | 制限なし |
在留活動 | 制限なし | 制限なし |
住宅ローン | 組みやすい | 組みやすい |
参政権 | なし | あり |
日本人パスポート | なし | あり |
法律違反による強制送還 | あり | なし |
④永住ビザの取得要件
永住ビザの申請要件は、難易度が高いです。
【①継続して10年以上日本に居住していること】
10年以上とは継続しての年数であり、中断した場合は初めから計算されることになります。(※中には10年未満で永住許可されているケースもございますので、別途ご相談ください)もちろん正当な在留資格を有していることが必要です。10年の中に就学・留学の期間を含む場合は、5年以上就労の資格で居住しなければなりません。
【②現在の在留資格の期間が最長のものであること】
永住ビザを申請するには、就労ビザなどの在留資格で最長のビザを持っていることが必要となります。留学ビザでは申請することが原則難しいといえます。現在、最長期間が5年とされているビザに関しては、3年のビザも最長とみなされる措置がとられています。
今後、必要な在留期間が変更される可能性があります。最新情報をご確認ください。
【③素行に問題がないこと】
日本での生活態度が良好であることが必要です。以下のような違反は申請が不許可となります。
・日本の法律に違反して,懲役,禁錮又は罰金刑を受けたことがある。
・過去の在留の中で多数回の交通違反をしている。
・留学生ビザで滞在している際にオーバーワークをしていた。
・親族が家族滞在ビザで滞在していて、入管から資格外活動の許可を得ずに仕事をしていること、又はオーバーワークをしている。
ただし、違反等があっても一定期間を良好に過ごしていれば、許可されることがあります。
【④申請者自身または配偶者の資産等によって生計を営むことができること】
公共の負担にならず、自分の資産や収入で安定した生活を送ることができることが必要です。申請前に転職などで一時的に収入が減った時期があると、安定した生活を送ることができないと判断される場合があります。
年収について,入管は明確な基準は公表していませんが1人世帯であれば300万円以上,2人世帯の場合は350万円以上,3人世帯の場合は400万円以上の年収が許可・不許可を分けるボーダーラインとされています。独立生計要件は世帯の年収で審査されるため,同居している家族の中で,申請人以外にも収入を得ている家族がいる場合は,そのご家族の収入は永住ビザの審査対象となります。なお,家族滞在ビザの方の年収は含まれない傾向が強いため,世帯の年収で申請を考える際には注意が必要です。対象期間については,永住ビザの原則的要件では直近5年間の収入がチェックされます。
なお,上記の金額は絶対的な要件ではなく,年収と対象期間がボーダーラインとされている金額に近いようなケースであれば,永住ビザの申請にチャレンジする価値があります。
上記は、①〜④は、基本的な申請要件です。現在有しているビザによっては、要件が緩和されます。要件が緩和されるビザは、以下となります。
【日本人の配偶者等】
【永住者の配偶者等】
【定住者】
【高度専門職1号、2号】
国際行政書士金森勇征事務所