適正人数の飲食店で外国人を増員する場合のビザ申請-対応事例の紹介

2025年6月

 適正人数のスタッフがすでに在籍している飲食店に、外国籍の新たな人材を雇用し就労ビザを申請する場合、出入国在留管理局は「売上に対してスタッフ数が多すぎる」と判断し、ビザ発給を拒否する可能性があります。以下では、このような状況での効果的な就労ビザ申請方法について解説します。

対応事例1:中華料理店A店での外国人料理人雇用の理由書作成

事例概要】
課題:適正人数のスタッフがすでに在籍している状況で外国人料理人の就労ビザを申請する必要がある
飲食店:中華料理店A店
提供メニュー:中国南方料理が中心(広東料理、福建料理、四川料理、上海料理等)
雇用予定者:中国東北地方出身の料理人

 弊所で店舗のメニューを拝見したところ、広東料理、福建料理、四川料理、上海料理等を起源とする料理が多く提供されていました。雇用したい外国人は中国東北地方の出身で、当該地域で料理人として勤務していた経験があったこと、また店舗には東北料理に起因する料理が少なかったことに着目し、以下のポイントで雇用理由書を作成し、在留資格技能(技能ビザ)の許可を頂きました。

1. 中国東北料理の提供開始による売上向上の明示(事業拡大計画の明示)
 出入国在留管理局に対して、A店では現在、中国南方の料理を中心に提供していること、顧客アンケートや市場調査により東北料理(東北三省の料理)に対する需要と関心が高まっていることを説明しました。併せて、A店ではメニューの多様化を図り、中国東北料理を新たに導入することで事業の成長を見込んでいることを具体的に説明することを決定しました。

2. 雇用予定の料理人が上記1の計画にマッチしていることを強調(専門性・希少性の強調)
 雇用予定の料理人は中国黒龍江省出身で、同地域の料理専門店で10年間の実務経験を持ち、以下の専門的技術を有していることがヒアリングでわかりました。

  • 東北料理特有の「鍋包肉」「地三鮮」「酸菜白肉鍋」等の正統な調理技術
  • 東北地方特有の発酵食品(酸菜など)の製法知識
  • 東北料理に不可欠な特殊調味料の使用技術

これらの専門知識と技術は、日本人料理人や当店の既存スタッフでは代替困難なものです。

3. 日本国内での人材確保の困難性
 当店は以下の方法で日本国内における東北料理の専門家を探しましたが、適切な人材を見つけることができなかったことを説明。

  • 料理人専門の人材紹介会社3社への依頼(過去6ヶ月間)
  • 料理専門学校への求人掲示(過去4ヶ月間)
  • 業界誌およびウェブサイトでの求人広告掲載(過去5ヶ月間)