はじめに
飲食業界では人手不足の解消策として外国人スタッフの採用が増えています。しかし、外国人を雇用する際には、在留カードの確認をはじめとする法的な確認義務があります。この記事では、飲食店経営者・人事担当者向けに、在留カードの確認方法と雇用前の確認義務について分かりやすく解説します。
在留カードとは
在留カードは、中長期在留者(3ヶ月を超えて日本に滞在する外国人)に対して交付される身分証明書です。カードには以下の情報が記載されています:
- 氏名、生年月日、性別、国籍・地域
- 在留資格と在留期間
- 就労制限の有無
- 顔写真
- 在留カード番号
このカードは外国人が適法に日本に滞在し、就労できることを証明する重要な公的書類です。
確認義務の法的根拠
入管法(出入国管理及び難民認定法)により、全ての事業主は外国人を雇用する際に、その外国人が就労可能な在留資格を持っているかを確認する義務があります。確認を怠ると「不法就労助長罪」に問われ、最高で300万円の罰金または3年以下の懲役が科される可能性があります。
在留カード確認の具体的な手順
1. 在留カードの真偽確認
偽造在留カードを見抜くためのポイント:
- ICチップマークが印字されているか
- 透かしや特殊なホログラムが入っているか
- 在留カード番号のフォーマット(12桁の数字とアルファベット)が正しいか
不明点がある場合は、出入国在留管理庁の電子届出システムで在留カード番号による検索・照会が可能です。
2. 在留資格と就労制限の確認
在留資格によって、就労の可否や範囲が異なります:
- 就労制限なし:「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「永住者」「日本人の配偶者等」など
- 特定の活動のみ可能:「特定活動」(就労内容の確認が必要)
- 資格外活動許可が必要:「留学」(週28時間以内)
- 就労不可:「短期滞在」「文化活動」など
飲食店で特に多い留学生アルバイトの場合は、在留カードの裏面に「資格外活動許可」の記載があるか確認が必須です。
3. 在留期限の確認
在留カードには有効期限が明記されています。期限切れの在留カードでは就労できません。また、期限が近い場合は、更新手続きを促すことも雇用主としての配慮といえるでしょう。
実務上のチェックリスト
雇用前に確認すべき事項
- 在留カードの原本を確認し、コピーを取得・保管
- 在留資格が飲食店での就労に適しているか確認
- 在留期限が十分残っているか確認
- 資格外活動許可の有無と就労時間制限の確認(留学生の場合)
- 他の雇用先での就労状況(複数の飲食店でアルバイトしている場合など)
雇用後の継続的な確認
- 在留期限の管理(カレンダーに記録するなど)
- 在留資格変更時の新しい在留カードの確認
- 留学生の場合、週28時間の制限を超えていないかのシフト管理
よくある質問と回答
Q: 在留カードのコピーだけでも雇用できますか? A: 必ず原本を確認する必要があります。コピーだけでは本人確認や真偽確認ができません。
Q: 外国人スタッフの在留期限が切れそうな場合、どうすればよいですか? A: 期限の1〜3ヶ月前には更新手続きを行うよう声掛けしましょう。必要に応じて手続きのサポートも検討してください。
Q: マイナンバーカードを持っている外国人の場合でも在留カードの確認は必要ですか? A: はい、必要です。マイナンバーカードは就労資格を証明するものではありません。
まとめ
在留カードの確認は、単なる法的義務ではなく、外国人スタッフと飲食店の双方を守るための重要なプロセスです。適切な確認手順を踏むことで、安心して多様な人材の力を店舗運営に活かすことができます。
不明点がある場合は、最寄りの出入国在留管理局や外国人雇用サービスセンターに相談することをお勧めします。
※本記事の情報は2023年1月現在のものです。法令改正等により内容が変更される場合がありますので、最新情報は出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。